視覚と聴覚の両方に障害のある人たちのことを、「盲ろう者」といいます。盲ろう者は日本に約13,000人程度、長野県では171人、長野市には33人いるといわれています(「厚生労働省 盲ろう者に関する実態調査」平成24年度より)
ひとくちに「盲ろう者」といっても、人によりその障害の状態はさまざまです。見え方の違い、聞こえ方の違いに加えて、コミュニケーション方法もさまざまです。
下の表のすべてが「盲ろう者」です。
見えない | 見えにくい | |
聞こえない |
全盲ろう (全く見えない・ 全く聞こえない) |
弱視ろう (少し見える・ 全く聞こえない) |
聞こえにくい |
盲難聴 (全く見えない・ 少し聞こえる) |
弱視難聴 (少し見える・ 少し聞こえる) |
障害の状態や、盲ろうになるまでに身につけた技能によって、盲ろう者のコミュニケーション方法は人それぞれです。
使用する感覚 | |||
さわって コミュニケーション |
見て・聞いて コミュニケーション |
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手話をもとに | 触手話 |
弱視手話 接近手話 |
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指文字をもとに | ローマ字式指文字 | ||
日本語式指文字 | |||
点字をもとに |
指点字 点字筆記 |
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文字をもとに | 手書き文字 | 文字筆記 | |
音声をもとに | 音声 |
話し手が手話を表し、盲ろう者がその手に触れて伝える方法です。この方法が難しい盲ろう者の場合、話し手が盲ろう者 の手指を持って、手話の単語に形作っていく方法もあります。
盲ろう者の指を点字タイプライターの6つのキーに見立てて、左右の人差し指から薬指までの6指に直接打つ方法です。
盲ろう者の手のひらに指先等でひらがなやカタカナ、漢字等を書いて言葉を伝える方法です。盲ろう者の指をとり、机や手のひらの上に一字ずつ書いていくという方法もあります。多くの盲ろう者は手書き文字によるコミュニケーションをとることができます。
まわりの状況がわかるように知らせてほしいです。例えば、桜が咲くころでしたら、どのくらい咲いているのか、咲きはじめなのか、満開なのか、散り初めなのか教えてほしいです。また、出会った人についても、どんな髪型でどんな顔立ちなのか、メガネはかけているのか、女性ならアクセサリーはつけているのかなど知りたいです。見える人にとってはなにげない情報のように思いますが、盲ろう者にとってはそういうことも知りたい情報なのです。(長野市 盲ろう者Uさん)
・盲ろう者は一人ひとりのコミュニケーション方法が違います。本人に合った方法で伝え、また、確実に情報が伝わっているか常に配慮しましょう。今起きていることが本人に伝わりにくいので、今の状況を伝えることも大事です。
・声をかけるときは、本人の肩や手に触れて、まず自分の名前を手のひらに書くなど自己紹介しましょう。
・盲ろう者に話の内容が伝わっているかどうか確認し、伝わっていないときは言い直したり、さらに説明を加えてみましょう。
・移動するときは、自分の肩や手に盲ろう者の手をのせて介助します。
盲ろう者のことやコミュニケーション、介助についての書籍を紹介します。ここで紹介している書籍は、長野県聴覚障がい者情報センターでも貸し出しできます。
盲ろう者への通訳・介助
通訳・介助についてまとめた入門的な本です。
光と音のない世界で
盲ろう者で東大教授になった福島智さんのおいたちを中心にした本です。ルビがあり、子どもにも読みやすい本です。
さとしわかるか
盲ろう者、福島智さんのおかあさんの体験記です。指点字を考案したといわれていますが、そのいきさつがよくわかります。
ゆびさきの宇宙
福島智さんのおいたちを取材からまとめたものです。福島さんのほか、仲間の盲ろう者のことについても取り上げられています。
渡辺荘の宇宙人
福島智さんのエッセー集。コミカルなタッチで盲ろう者の日常のなかで感じたことなどがよくわかる一冊。